万国共通の表情とは?― 感情と表情の普遍性をめぐる科学 ―
- 2016年8月7日
- 読了時間: 3分
更新日:1月29日
みなさん、こんにちは。国際ボディランゲージ協会代表の 安積陽子 です。
国や地域によって言語や文化は大きく異なりますが、文化・民族・人種・宗教・年齢・性別・時代を超えて共通して現れる表情が存在することが、長年の研究によって示されています。
これらは一般に「万国共通の表情(universal facial expressions)」と呼ばれています。

万国共通の表情とは何か
たとえば、人が「楽しい」「うれしい」と感じたとき、赤ちゃんでも大人でも、男性でも女性でも、
口角が自然に上がり
目の周囲の筋肉(眼輪筋)が収縮する
という、いわゆる笑顔の表情が現れます。
このように、特定の感情と結びついた表情パターンが、人類共通で観察されるという考え方が、万国共通の表情の基本です。
現在までに確認されている「基本表情」
現在、研究の中で比較的高い一致率が確認されている感情表情は、次の7種類です。
幸福(Happiness)
軽蔑(Contempt)
恐怖(Fear)
嫌悪(Disgust)
怒り(Anger)
悲しみ(Sadness)
驚き(Surprise)
これらは「基本感情(basic emotions)」と呼ばれることもあり、表情筋の特定の動きと安定して結びつく傾向があるとされています。
万国共通の表情は、どのように発見されたのか
① チャールズ・ダーウィンの視点
万国共通の表情研究の出発点は、チャールズ・ダーウィン(1809–1882)にさかのぼります。
ダーウィンは『人及び動物の表情について(1872)』において、人間と動物の表情に共通性があることを示し、表情が進化の過程で形成された生物学的反応である可能性を提唱しました。
② シルバン・トムキンスの理論
1960年代になると、心理学者シルバン・トムキンスが、感情と表情筋の体系的な関係に注目し、感情が顔の筋活動として表出するメカニズムを理論化しました。
この理論が、後の実証研究の基盤となります。
③ ポール・エクマンとキャロル・イザードの実証研究
1970年代以降、トムキンスの理論を引き継いだポール・エクマン、キャロル・イザードらが、
異なる文化圏の人々が表情をどの程度正確に識別できるか
西洋文化と接触の少ない地域でも同様の表情が見られるか
といった点を、写真提示実験やフィールド調査によって検証しました。
その結果、文化が異なっても、特定の表情が同じ感情として認識されるという高い一致率が確認されました。
④ デイビッド・マツモトによる追加検証
2000年代以降、エクマンの弟子であるデイビッド・マツモトは、先天的に視覚経験を持たない視覚障害者の表情に注目しました。
その結果、目が見えない人々も、感情に応じて健常者と非常に類似した表情を示すことが確認され、学習ではなく、生得的な要素の存在が強く支持されました。
万国共通の表情研究は、今も進化している
近年の研究では、
感情のラベルづけ
表情の出現頻度
表情を抑制・誇張する文化的ルール
には、文化差が存在することも明らかになっています。
つまり、
表情の基盤には共通性がある
その使われ方・解釈・表出の強さには文化差がある
というのが、現在の学術的にバランスの取れた理解です。
感情と表情の関係についての研究は、現在も神経科学・心理学・AI解析などの分野で進められています。
最新の研究動向や、実務にどう応用できるのかについては、国際ボディランゲージ協会の公式サイトや講座を通して今後もご紹介していく予定です。
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